
マネジメント
2025.05.27
【これが現実】「起業したらお金持ち」は幻想!役員報酬ゼロの真実とは?
S&K Holdings
起業=成功=お金持ち…
そう考えている人にとって、スタートアップの役員報酬の話は少しショッキングかもしれません。実際のところ、創業者が最初から高収入を得るケースはほとんどありません。
会社を立ち上げるということは、自分自身に投資すること。報酬よりも未来のリターンを信じて、「節約モード」で走り続ける日々が待っています。
今回は、起業時の役員報酬について解説します。
この記事はVoicyの「No. 309 役員報酬をいくらにするか」を基に執筆しています。
成功する起業家ほど「無給」を選ぶ理由|創業期は0円でOK

創業して間もないフェーズでは、役員報酬を設定しない方がむしろ合理的です。なぜなら、自分自身に報酬を支払うことで、必要のない所得税や社会保険料を払う羽目になってしまうからです。
たとえば、手元に500万円あるとします。そのうち100万円を自分の給与として設定すれば、税金で数十万円が引かれます。それなら、最初からそれを会社の運転資金として活用した方が事業としても理にかなっていますよね。こうした判断は、まだ誰も給料を気にしていない創業初期だからこそできるもの。
ただし、社会保険に入りたい・厚生年金をつけたいといったライフプランに関わる事情がある場合は、形式的に月8万円〜10万円など最小限の報酬を設定するケースもあります。
「マイクロ法人」などと調べれば、このような情報はサクッと手に入りますよ。
【資金調達後も極貧】シード期の役員報酬が「形だけ」である本当の理由

資金調達を終えてシード期に入ったとしても、報酬は形だけということが多いです。出資者との合意次第ですが、会社の成長に全力投資するべきタイミングである以上、自分の取り分は最低限であるべきという考えが根強いです。
実際、調達金額が数千万円規模になってくると、月30万円〜40万円といった水準で報酬を設定する起業家も出てきますが、それでも生活を支えるギリギリのライン。家庭の事情に左右されるのがリアルなところです。
- 家族がいるかどうか
- 持ち家か賃貸か など
VC(ベンチャーキャピタル)などの外部株主としっかり話し合い、必要最低限の生活を確保できる水準で報酬を設定することが、信頼と長期的な成長の両立に繋がります。
【ようやく人並み】普通の給料がもらえるのはシリーズB以降の現実

多くの人がイメージする「普通の給料」を得られるようになるのは、シリーズB以降が一般的です。それまでは役員報酬といってもサラリーマンの8掛け、6掛け程度。家族を養いながらスタートアップを経営するのは、想像以上にハードな日々です。
シリーズBになるとようやく、年収600万円〜800万円といったマネージャークラスの水準が見えてきます。創業から数年が経って仲間も増え、会社が「社会の一部」として機能しはじめるタイミングです。
この頃には、個人の生活と会社のバランスをどう取るかという課題も浮かび上がってきます。がむしゃらに走ってきた創業期と違い、自分自身の持続可能性を見つめ直すフェーズです。
24時間働いても報われない?「株式」という夢のチケットに賭ける理由

起業すればお金持ちになれる。そんな幻想を打ち砕くようですが、役員報酬という観点で言えば、上場して初めて年収1,000万円を超えるケースがほとんどです。それも、一握りの成功スタートアップだけの話。
現実は、24時間働き詰めで、リスクも責任も大きく、それでも報酬は一般的なビジネスマンと比べて控えめ。
それがベンチャー経営者の日常です。
では、なぜそんな苦しい道を選ぶのか?それは「株式」という夢のチケットがあるから。自分が保有する株の価値がIPOやM&Aなどのエグジットで現金化されると、その一瞬でこれまでの苦労が報われる可能性があるからです。
宝くじのようなものだと言われることもありますが、その分だけ準備と努力、そして信じる力が必要です。日々の報酬で見るなら、むしろ起業は「割に合わない働き方」とさえ言えるでしょう。
まとめ:お金より大切な「どれだけの人を巻き込めるか」という価値創造

スタートアップの役員報酬は、多くの人が想像する「華やかな経営者像」とは大きくかけ離れています。創業期はゼロ円が当たり前。シリーズAでもやっと生活が安定するレベル。そしてようやく、上場が見えてくる頃に年収1,000万円に届くかどうか。
この現実を知ることで、起業という選択肢が決して「楽して儲かる道」ではないことがわかるはずです。
だからこそ、問われるのは「自分が信じる未来に賭けられるかどうか」。役員報酬は、その覚悟の証とも言えます。
起業に興味がある人は、まずは今の生活を支えられる手段を確保した上で、本気で挑む準備をしてみてください。報酬よりも「どれだけの人を巻き込めるか」が、最終的な価値を生む世界です。
今日のワンポイント英語スラング:Buns
今日紹介するスラングは「Buns」です。
もともとはハンバーガーなどのパン部分を指しますが、スラングとしては「お尻」という意味で使われます。
- She’s got nice buns(彼女のお尻はきれいだね)
親しい間柄以外では避けた方が無難ですが、海外ドラマではよく登場するのでチェックしてみてください。