
事業拡大
2025.06.03
【危険】タイミングを間違えると“死ぬ”!グロースしていい瞬間は「3つの数字」が教えてくれる
S&K Holdings
プロダクトを作った。ユーザーも少しずつ増えてきた。
「そろそろ広告で一気に勝負かけるか!」
──ちょっと待ってください。それ、逆にビジネスを潰します。
スタートアップの失敗あるある、それが「グロースのタイミングを間違えること」。
早すぎても遅すぎても、キャッシュが一気に燃え尽きます。
じゃあ、いつアクセルを踏めばいいのか?
その答えは、たった3つの数字に隠されています。
• LTV(顧客生涯価値)
• CPA(顧客獲得単価)
• ユニットエコノミクス(1人当たりの収益性)
この3つのバランスが取れているとき、初めてグロースの“青信号”が灯ります。
逆にここを無視して広告を回すと、売上より先に赤字が増えていく地獄が待っている。
この記事では、Voicyの人気エピソード「No.315 どのタイミングでグロースさせるか」をもとに、
数字に基づいて“踏んでもいいアクセル”の見極め方を、わかりやすく解説します。
「勢いで広告」はもう古い。
今の時代、スタートアップは“数字の武器”を持っていないと、生き残れない。
赤字拡大は自殺行為!グロース前に確認すべき「ユニットエコノミクス」とは

急成長を目指すには、まず「ユニットエコノミクス」が黒字になっていることが大前提です。
ユニットエコノミクスとは、商品1つ売ったときに、会社にいくら利益が残るかを示す指標。たとえばライドシェアサービスなら、1回の乗車で得られる収益から、ドライバーへの支払い、手数料などのコストを引いた残りが利益となります。
この1件あたりの利益がしっかりプラスであることが、グロースの土台です。
なぜなら、赤字のまま宣伝費を増やしても、売るたびに損をするだけだからです。
急成長どころか、資金が尽きて倒れてしまうこともあります。スタートアップでよくある失敗は、勢い任せにユーザーを増やし、気づけば利益構造が崩れているというケースです。
まずは「1件売って、きちんと利益が出るか?」というシンプルな視点で確認しましょう。
「なんとなく」は危険!LTVとCPAが示すグロースの絶対条件

グロースのタイミングを測るうえで、もう一つ重要なのが「LTV」と「CPA」の関係です。
LTV(ライフタイムバリュー)は、1人のユーザーが一生のうちに企業にもたらす利益の合計額。そしてCPA(コスト・パー・アクイジション)は、1人のユーザーを獲得するためにかかった広告費です。
たとえば、LTVが4,700円、CPAが1,500円なら、1人ユーザーを獲得するたびに最終的に3,200円の利益が出るということ。
このバランスが取れてはじめて、「広告を増やすべきだ」という判断ができます。逆にLTVが2,000円、CPAが3,000円なら、どれだけ広告費をかけても赤字になる構造です。
グロースを「なんとなく増えそうだから」で決めるのは絶対NG。
「1人のユーザーが確実に利益をもたらす」かどうかを冷静に見ることが不可欠です。この感覚がないまま規模拡大に走ると、必ず息切れします。
「勝てる勝負」を積み重ねよう!数字という地図を得た後の進み方

「LTV > CPA」かつ「ユニットエコノミクスが黒字」の両方が揃って初めて、グロースステージに入る準備ができたと言えます。
ここで大切なのが、ただ数字が良くなったから一気に拡大するのではなく、地に足をつけて、その良い数字が維持できるかを見極めること。
「エリアを1つ増やす」「ユーザー数を2倍にする」のように、段階的な検証を経て、最終的にどこまで拡大しても利益構造が壊れないかを見極めます。
グロースとは、「勝てる勝負を一つずつ丁寧に積み重ねる」プロセスです。
数字という地図を手に入れた後は、その道をどう走るかの工夫が問われるフェーズなのです。
華やかな成長期こそ要注意!採用・育成が追いつかない時の対処法

グロース期のスタートアップは、とにかく賑やかです。資金調達が進み、メディアにも取り上げられ、チームもどんどん拡大していく。そんな中で、一番の課題になるのが「人手」です。
システムや広告はスピード感を持って改善できますが、人の採用や育成はどうしても時間がかかる。結果として、現場が追いつかず、サービスの品質が下がってしまうことも。せっかくのグロース期に顧客満足度が下がるのは致命的です。
だからこそ、どこまでを自分たちでやり、どこからを外部に任せるか。
人と仕組みのバランスを見極めることが、グロースを成功に導くためのカギになります。
盛り上がって見える時期だからこそ、冷静な判断が欠かせません。
まとめ:数字を味方にしたとき、グロースは自然に始まる

スタートアップにとってグロースのタイミングは、夢と現実が交錯する重要な分岐点です。でも、その判断は意外なほどシンプル。「ユニットエコノミクスが黒字で、LTVがCPAを超えているか?」この2つの数字がYESなら、あとは広げるだけ。
焦る必要はありません。
正しい指標を見ていれば、アクセルを踏むべきタイミングは自然と見えてきます。
ビジネスの本質は「急がば回れ」です。華やかな成長の裏には、地道な数字の積み上げがあることを忘れないでください。
ワンポイント英語スラング:「Tight」
今日のスラングは「Tight」。
日本語では「きつい」「タイト」といった意味ですが、英語スラングでは「親しい」「信頼し合っている仲」を表します。
例文:I’m really tight with him.(彼とは本当に仲がいいんだ)
ビジネスでも、Tightな関係を築ける相手がいると、心強いものですね。