
マネジメント
2025.03.24
クライアントワークの落とし穴?社員のモチベーションを劇的に上げる4つのマネジメント方法
S&K Holdings
スタートアップ企業が成長するためには、自社プロダクトの開発と市場拡大が不可欠です。
しかし、初期段階では資金が不足しがちで、経営を安定させるためにクライアントワーク(受託開発やコンサルティング)を取り入れる企業も少なくありません。
しかし、ただ漠然とクライアントワークをこなすだけでは企業も社員も成長しないことに注意が必要です。
今回は、クライアントワークを導入する際に必要な従業員向けの差別化戦略と、モチベーション維持のための工夫について解説します。
この記事はVoicyの「No. 285 クライアントワークをする時は従業員向けにも差別化が必要」を基に執筆しています。
資金調達の生命線:クライアントワークがもたらす光と影

スタートアップ企業が事業を拡大するためには、自社のプロダクトを成長させることが重要です。
しかし、初期の段階では十分な資金がないため、クライアントワークを取り入れざるを得ない場合があります。
このような業務は企業の資金繰りを支える一方で、従業員のモチベーション低下につながるリスクもあります。
特に企業のビジョンに共感して入社した従業員にとって、クライアントワークは「やりたい仕事」ではなく、「やらされている仕事」と感じられがち。
プロダクト開発を目的に入社したエンジニアが、外部クライアントの要望に応える業務ばかりを任されると、「自分は何のためにこの会社にいるのか」と疑問を抱くことがあります。
また、副業や業務委託の形で働く人が多い環境では「それなら自分で案件を取って直接稼いだほうがいいのでは」と考え、会社に所属する意義を見失うケースも少なくありません。
クライアントワークを導入するには、従業員が納得できる仕組みを整えることが重要です。
モチベーション革命!クライアントワークを価値ある経験に変える方法4つ

従業員がクライアントワークに納得し、意欲的に取り組むにはどうすればよいでしょうか。
「この会社でクライアントワークをする価値」を明確に伝えることが大切です。そのための差別化ポイントとして、以下のような工夫が考えられます。
- 報酬の還元制度を導入する
- ストックオプションを提供する
- 大手クライアントとの取引実績を強みにする
- 充実したサポート体制を整える
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 報酬の還元制度を導入する
クライアントワークの収益の一部を従業員に還元することで、業務の成果がダイレクトに収入に反映される仕組みを作れます。
成功報酬型やインセンティブ制なども良い施策です。
これを導入することで、「努力が正当に評価される」と実感しやすい環境を作れます。
2. ストックオプションを提供する
スタートアップならではのメリットとして、ストックオプション(自社株の購入権)を付与する方法があります。
これにより、従業員は短期的な収益だけでなく、長期的な企業の成長にも関与できるようになるからです。
自社の価値を高めることが将来的な利益につながるため、モチベーションの向上にもつながります。
3. 大手クライアントとの取引実績を強みにする
個人ではなかなか取引できないような、大企業や有名企業とのプロジェクトに関われる点をアピールするのも効果的です。
クライアントワークを通じてスキルアップできる機会があることを強調することで、「単なる業務」ではなく「キャリアのステップアップ」として捉えやすくなります。
4. 充実したサポート体制を整える
フリーランスとして働く場合、営業や契約交渉、事務処理などの負担が増えます。
一方、会社を通じたクライアントワークであれば、これらの業務をバックオフィスがサポートするため、実務に集中できる環境を提供できます。
このポイントを明確にすることで、「会社を通じて働くメリット」を理解してもらいやすくなります。
クライアントワーク導入時の注意点3つ

クライアントワークを進める際には、従業員の意識やモチベーションを低下させないよう、いくつかのポイントに注意する必要があります。
- 事前に会社の方向性を明確に伝える
- クライアントワークとプロダクト開発のバランスを取る
- 透明性のある評価制度を導入する
それぞれ詳しく解説します。
注意点①:事前に会社の方向性を明確に伝える
「最終的な目標はプロダクトの成長であり、クライアントワークは一時的な手段である」
これを経営陣が明確に説明できるかどうかが、企業の存続に影響を与えます。
従業員が「いつまでこの業務が続くのか」「どのようなステップで本来の目的に近づけるのか」を理解していれば、不安や不満を抱えにくくなるからです。
注意点②:クライアントワークとプロダクト開発のバランスを取る
クライアントワークばかりにリソースを割いてしまうと、本来のプロダクト開発が遅れてしまいます。
クライアントワークを重視した結果、メインの事業の成長が鈍化してしまっては本末転倒です。
そのため、プロジェクトごとに適切な人員配置を工夫しましょう。
従業員が自社プロダクトにも関与できるような仕組みを作ることが重要です。
注意点③:透明性のある評価制度を導入する
クライアントワークを担当する従業員が正当に評価される仕組みを作ることも大切です。
例えば、売上額だけでなく、プロジェクトの難易度や成果、クライアントの評価なども考慮すれば、より公平な評価が可能になります。
まとめ:クライアントワークとプロダクト開発のバランスを取り、スタートアップ成長の両輪を回そう

スタートアップが事業を拡大する過程でクライアントワークを取り入れることは、資金面での安定を図る有効な手段です。
しかし、その際には従業員のモチベーション低下を防ぐ工夫が必要です。
報酬の還元やストックオプションの付与、大手クライアントとの取引実績の活用など、従業員にとってのメリットを明確にすることで、意欲的に業務に取り組んでもらいやすくなります。
適切なマネジメントを行うことで、企業と従業員双方にとってメリットのあるクライアントワークを実現できます。
ワンポイント英語スラング「Caboose」
「Caboose」は、鉄道の最後尾に連結される車両を指す言葉ですが、スラングとしては「お尻」や「最後尾」という意味で使われます。
- Look at the caboose!(あのケツを見てみろ!)
- He was always the caboose in a race.(彼はレースでいつも最後だった。)
このスラングはカジュアルな場面で使われますが、相手を不快にさせないように注意しましょう。