マネジメント

2025.06.26

人事の落とし穴!なぜ“成果主義”だけでは組織が崩壊するのか?

S&K Holdings

結果を出した者には報酬を、人格に優れた者には地位を与える。このシンプルな原則が、組織づくりにおける本質です。西郷隆盛の言葉に由来する「功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ」は、現代の企業経営やスタートアップにも強い示唆を与えています。

功績と人徳は別のものであり、それぞれにふさわしい評価軸と報い方が求められます。この記事では、ベンチャー企業における人事評価のあり方や、プレイヤーとマネージャーの違いを明確にしながら、これからの人材戦略について解説します。

この記事はVoicyの『No. 325 功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ』を基に執筆しています。

【よくある失敗例】なぜ営業トップをマネージャーにすると組織が壊れるのか?

事業の成長に伴い、一定の人数が集まった時点で「誰をリーダーにするか」は避けて通れない課題です。このとき、「結果を出した人だから」と安易に昇格させてしまうケースがありますが、これは大きな落とし穴になり得ます。

なぜなら、優れたプレイヤーが必ずしも優れたマネージャーであるとは限らないからです。むしろ、プレイに集中していた人にマネジメント業務を任せることで、チーム全体のパフォーマンスが下がることさえあります。

なぜ金銭的報酬と昇進を分けるべきなのか?モチベーション維持の秘訣

功ある者には禄を与えよ」とは、売上を上げた、利益を生んだといった実績のある人には報酬で応えよう、という意味です。具体的には、昇格ではなく昇給やボーナスといった金銭的報酬が適切だということ。そうすることで、その人の得意分野を損なうことなく、モチベーションを高く維持できます。

一方で「徳ある者には地位を与えよ」は、人格的に信頼され、人をまとめられる力のある人物をリーダーに据えるべきだという教えです。必ずしも営業成績がトップである必要はなく、むしろ周囲からの信頼や、チーム作りの能力に長けた人こそが、マネージャーとしての適性を持つのです。

なぜベンチャーは人事で躓くのか?規模拡大時の組織設計ミス3選

この考え方は、特にベンチャー企業において重要です。創業初期は、限られた人数で走りながら組織を形にしていくため、結果を出している人に頼りたくなるのは当然の流れです。しかし、一定の規模になったときに同じ思考で人事を進めると、現場が回らなくなるリスクがあります。

マネージャーとは、個人としての成果を出すだけでなく、他者を導き、チームを成長させる役割。だからこそ、人間性や周囲との関係性といった「見えにくい能力」を評価できる目線が求められます。

【制度設計の極意】プレイヤー専念コースが生む組織の生産性向上効果

プレイヤーとマネージャーは、役割がまったく異なります。報酬と地位の基準を明確に分けることで、社員一人ひとりが自分の強みを活かせる道を選びやすくなります。

たとえば「結果を出してもマネージャーにはならない」という選択肢があってよいのです。そのかわり、プレイヤーとして突出した成果を上げた人には、相応の報酬でしっかりと評価する。こうした制度設計が、個人の能力を最大限に引き出し、組織全体の生産性を高めることにつながります。

まとめ:実績と人格を正しく評価する持続可能な人事戦略の作り方

実績と人格は、組織にとってどちらも欠かせない資質です。そして、それぞれに適した「報い方」があるという発想が、組織づくりの質を大きく左右します。優れたプレイヤーには報酬を、信頼される人には地位を。

評価軸を明確に分け、役割に応じた成長機会を設けることで、社員一人ひとりが自分らしく力を発揮できる環境が生まれます。これこそが、現代における持続可能な人事戦略なのです。

ワンポイント英語スラング:Bloody

「bloody」はイギリス英語で感情を強調するスラング。もともとは「血まみれ」という意味ですが、実際には「非常に」や「とても」に近いニュアンスで使われます。たとえば “That’s a bloody good idea!”(それはめちゃくちゃいいアイデアだ)という形。日常会話や映画でもよく使われ、少し口調が強めながらも親しみのある表現です。

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