マインド
2026.07.29
認知広告を侮るな!数値を追えない施策にこそ眠るビジネスの起爆剤
S&K Holdings
「新しい機能を追加したいけれど、売上に直結するだろうか?」 「デザインの細部にこだわっても、誰も気づかないかもしれない…」
新しいプロダクトやサービスを立ち上げる際、私たちはつい目に見える費用対効果(ROI)を気にしてしまいます。論理的に考えれば、無駄なコストを徹底的に排除するのは当然の判断です。
しかし、成功するビジネスの裏には、短期的なROIをあえて無視した「圧倒的なこだわり」が隠されていることが少なくありません。そしてこれは、マーケティングにおける「広告の役割」にも全く同じことが言えます。
今回は、WEB広告のように直接的な数字が見えにくい「認知広告」をテーマに、なぜこれを侮ってはいけないのか、その本質的な価値についてお話しします。
本記事は、Voicyの「No. 353 認知広告を侮るな」を基に書いています。
広告の基礎を学ぶ!有名なフレームワーク「アイドマ(AIDMA)」とは?

まず前提として、広告には色々な種類があり、それぞれ目的が異なります。これらを理解する上で非常に有名なフレームワークが「アイドマ(AIDMA)」です。
これは、ユーザーや消費者が物を買うまでのプロセスを5つの段階に分けたものです。
- A(Attention:認知)
- I(Interest:関心)
- D(Desire:欲求)
- M(Memory:記憶)
- A(Action:行動)
何も知らなかった人が、まずそのプロダクトやサービスを「認知」し、それに「関心」を持って、「欲しい」という欲求に変わり、それを「記憶」して、最終的に購入という「行動」を起こす。消費者はこのようなプロセスを辿ると言われています。
そして、世の中の広告は、「このプロセスのどこをターゲットにしているか」「何を目的としているか」によって内容が大きく変わってきます。
「WEB広告」と「テレビCM」で見る目的の違い

分かりやすい例を挙げてみましょう。
WEB広告(SNS広告など):アクション目的
WEB上のSNS広告などは、最終ステップである「アクション(行動)」を目的としているものが大半です。なぜなら、WEB上で目にした広告をユーザーがクリックすれば、そのまま直接コンバージョン(購買や申し込み)へ繋げることができるからです。
テレビCM:認知目的
一方で、テレビCMなどは比較的「認知(アテンション)」を目的としたものが多くなります。そのプロダクトやサービスについて詳しく説明するのではなく、あえて抽象的な表現や描写をすることで、ブランドのイメージ作りを行うケースが目立ちます。
今回のメインテーマである「認知広告」は、まさにこのテレビCM側の役割を指します。
認知広告の最大の弱点は「計測の難しさ」

では、なぜ多くの起業家やスタートアップが認知広告を避けたがるのでしょうか。理由はシンプルで、効果の計測が非常に難しいからです。
WEB広告であれば、「何回ユーザーに表示されて(インプレッション)」「何人がクリックし」「そのうち何人が購入したか」が明確な数値として分かります。そのため、かけた費用に対する効果(ROI)がダイレクトに算出できます。
しかし、認知広告はブランディングやイメージ向上を狙う抽象的なアプローチであるため、そこから実際に購買へ繋がったのかどうかの因果関係が見えにくいのです。
「効果が分からないものに、貴重な資金は使えない」
特に資金に余裕がない起業初期やスタートアップの場合、認知広告にはお金をかけないというのが一般的なセオリーになっています。
短期的なROIを無視した先に生まれる「認知広告」の驚くべき効果

しかし、数字で測りにくいからといって、認知広告に効果がないわけではありません。
WEB広告(アクション目的)の世界では、常にCPA(Cost Per Action:顧客獲得単価)という指標と向き合います。これは、1人のユーザーにアクション(購買や問い合わせなど)を起こしてもらうためにかかったコストのことです。
通常、私たちは「どんな訴求をするか」「どんなクリエイティブにするか」と試行錯誤しながら、泥臭くこのCPAを下げようとします。
ここに、効果的な「認知広告」が掛け合わさるとどうなるか。
あらかじめ認知広告によってブランドイメージや信頼度(ブランディング)が向上していると、ユーザーの心理的ハードルが下がり、結果としてWEB広告側のCPAもグッと下がるという相乗効果が生まれるのです。それだけでなく、ブランド価値が高まることで、商品の単価(価格)を上げることすら可能になります。
短期的なROIだけを見ていると、認知広告は「非効率」と判断されて終わりです。しかし、長期的なブランド価値や他社との圧倒的な差別化は、こうした一見すると非効率に思える投資や「こだわり」からこそ生まれるのです。
まとめ:長期的な視点がビジネスを強固にする

ビジネスである以上、最終的に利益を出すことは不可欠です。しかし、「費用対効果が見えにくいから」という理由だけで認知広告やブランディングをすべて排除してしまうと、価格競争に巻き込まれるだけの、尖りのないビジネスになってしまいます。
短期的な結果に一喜一憂せず、長期的な収益性を見据えて「認知」や「こだわり」に投資すること。これこそが、競合他社が簡単に模倣できない強力な参入障壁を作るための、真の投資戦略と言えるでしょう。
ワンポイント英語スラング「Juice」
今日のワンポイントスラングは 「Juice(ジュース)」 です。
日本語で「ジュース」と言うと果汁飲料などを思い浮かべますが、アメリカのストリートやカジュアルな会話では、「エネルギー」「パワー」「(内から湧き出るような)影響力や政治力」といった意味のスラングとしてよく使われます。
例えば、以下のように使います。
The new manager has the juice to make big changes in the company.
(新しいマネージャーは、この会社に大きな変革をもたらすだけの実力(エネルギー)を持っている。)
もともとは車の「燃料」といったニュアンスから派生して、人間に対する「モチベーション」や「権力」を表す言葉になりました。「パワーがある」「ノッている」状態を表現するときに便利なフレーズですので、ぜひ覚えてみてください。


